大野総長、植木理事と東北大学国際法政策センターの看板
近年、世界情勢は不安定化を増し、安全保障問題、資源エネルギーの確保など、国境を越えた外交努力が求められ、かつ、自然災害、パンデミックといった世界規模の社会問題に直面しています。
東北大学では、人文社会系の法文学部設立100年の歴史で蓄積された「総合知」をもって、これらの課題解決に貢献することが、研究大学としての責務と考えています。
国際司法機関の中核を担う人材を多数輩出した本学の実績に立脚して、国際法・国際政策を切り口に、専門的知見を社会に対して広く発信するとともに、様々な地球規模課題に関する国際的なルール・規範の創設に向けた本学の発信・貢献を強化・推進する役割を担う機関として、令和5年4月、「国際法政策センター」を設置しました。
東北大学国際法政策センター
センター長 植木 俊哉
現在国際社会では、気候変動、感染症の拡大、未曾有の災害への対応等の世界規模課題の克服のために、人文社会科学の知見と自然科学の知見の双方を踏まえた「総合知」による対応が求められています。このような知の融合という視点は、国際社会のルールである国際法を考える際にも必要です。
2023年4月、東北大学は国際法政策センター(Center for International Law and Policy)を創設しました。本センターが目指すのは、東北大学における「総合知」創出のための拠点として学術の最先端を拓き、社会に向けて新たな知見を創出していくことです。
法文学部設立100年の歴史を有する東北大学は、国際法学の研究、教育において日本を代表する学術機関の1つです。また、これまでに国際司法機関に裁判官を3名輩出※し、国際社会における法の支配の実現と紛争の平和的解決に大きく貢献してきました。こうした国際法分野の傑出した実績に加えて、東北大学には、伝統ある総合大学として、多様な分野の学術的知見を生かすことができるという強みがあります。国境を超え、さらに既存の学術分野の壁を超える複合的な社会課題に取り組むために、国際法政策センターは誕生しました。
本センターでは、国際法学に関わる理論的課題・実践的課題の双方を視野に入れて、国内・国外の研究機関との連携しながら、研究活動を進めてまいります。また、センターの創設初年度にあたる2023年度には、フィンランド、オランダ、オーストリア等から研究者を招聘して国連やWHO等の「国際組織」に関わる国際法の様々な課題を検討する国際シンポジウムを開催するなど、国際法上の理論的課題の探究にも取り組みました。
同時に、本センターでは、地球規模課題に関する実際のルール形成に関する国際社会の新たな動向も注視し検討を進めてまいります。2023年度には、海洋における生物多様性の保全(いわゆるBBNJ条約)、地球規模での感染症対応(いわゆるパンデミック条約)という2つの分野でのルール形成の動向に焦点を当てて、学際的なワークショップおよびセミナーを実施します。また、今後は、気候変動やSDGs等の様々な地球規模課題にも検討の対象を広げる予定です。
これらの活動を通じて、国際法学および国際法政策分野での東北大学の存在感を国内外で一層高め、本センターが国際法学に関する国際貢献と国際発信の拠点となることを目指してまいります。さらに、国際法および関連諸分野の若手研究者のキャリア形成を支援することも本センターの重要な任務の1つです。
国際法政策センターは、東北大学で積み重ねられた知見を受け継ぎ、さらに発展させながら、人文社会科学分野を起点とした「総合知」創出の場となることを目標に活動を展開してまいります。皆様方からの温かいご支援とご指導を何卒よろしくお願い申し上げます。
小田 滋
山本 草二
尾崎 久仁子
センター長植⽊ 俊哉UEKI Toshiya
副センター長西本 健太郎NISHIMOTO Kentaro
特任教授(客員)尾﨑 久仁子OZAKI Kuniko
特任准教授(客員)佐俣 紀仁SAMATA Norihito
学術研究員山下 毅YAMASHITA Tsuyoshi
東北大学国際法政策センター(Center for International Law and Policy)のロゴには、公正さを表し、司法のモチーフである天秤と、東北大学のロゴマークに用いられている「萩の花」をデザインしました。
東北大学国際法政策センター
TEL:022-217-5916
E-mail:cilp@grp.tohoku.ac.jp
〒980-0812 宮城県仙台市青葉区片平2丁目1−1
東北大学国際法政策センター