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ニュース 実施報告[動画あり] POST:2024.04.04東北大学国際法政策センター主催セミナー「太平洋の小さな島国と気候変動-気候変動問題の現状と国際社会の動向を考える」が開催されました。

3月12日(火)、東北大学国際法政策センター主催セミナー「太平洋の小さな島国と気候変動-気候変動問題の現状と国際社会の動向を考える」が開催されました。

気候変動問題は、国際社会全体が取り組むべき喫緊の課題です。国連が設定した持続可能な開発目標(SDGs)でも、目標13では気候変動に具体的な対策が求められ、また目標14では海の豊かさ、目標15では陸の豊かさを守るための取り組みが強調されています。

そうした中で注目されるのは、気候変動から真っ先に影響を受ける太平洋の小さな島国(島嶼国)です。これらの国々は気候変動問題に対して強い当事者意識を持ち、国際社会での取り組みを主導してきました。

今回のセミナーでは、気候変動が島嶼国に与える影響と、この問題に対する島嶼国側および国際社会の対応を、実務と学術の両面から取り上げました。

まず、本セミナーの座長として司会進行を務める植木俊哉国際法政策センター長(東北大学理事・副学長)が開会の挨拶を述べたあと、基調報告として、成澤みくさん(東北大学大学院理学研究科/東北アジア研究センター博士後期課程)が、登壇しました。国連気候変動枠組条約の第28回締約国会議(2023年11月にUAEで開催、いわゆるCOP28)に島嶼国の1つであるパラオ政府のアドバイザーとして参加した成澤さんは、この国際交渉を通じて得た知見について報告しました。

(成澤さんによる基調報告の様子)

次に、海洋物理学を専門とする杉本周作准教授(東北大学大学院理学研究科/災害科学国際研究所に)と、国際法学を専門とする本センターの山下毅学術研究員が、それぞれ学術的な視点から講演を行いました。

杉本准教授は、日本近海で急速に海水温が上昇していること、そしてその結果、豪雨や高潮、高波など極端水害が頻発し、また海流異常が引き起こされて海洋環境や漁業に影響が生じることを述べました。

(杉本准教授による講演の様子)

一方、山下学術研究員は、島嶼国による気候変動問題への取り組みとして、一部の島嶼国のグループが国際海洋法裁判所(ドイツ・ハンブルク)に勧告的意見を要請し、国際海洋法裁判所を通じて気候変動に関する議論の促進が試みられていることを述べました。

(山下学術研究員による講演の様子)

最後に、参加者からの質問を踏まえたパネルディスカッションを行い、気候変動問題の現状や対応策に関する議論を更に掘り下げ、盛況のうちにセミナーは終了しました。

本セミナーは、気候変動という地球規模課題に関する東北大学国際法政策センターによる取り組みの一環です。国際法政策センターでは、今後も地球規模課題の解決に関わる各種の研究活動を行い、その成果を発信してまいります。

セミナーのアーカイブ動画をYoutubeに公開しました。

※セミナーの様子がNHKで紹介されました。

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