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ニュース 実施報告 POST:2024.09.11第7回TUPRePクロストーク「グローバルヘルス・ガバナンスに関する最近の動向」が実施されました

2024年8月21日(水)、東北大学の研究プログラム「SOKAP-Connect」(=Sustainability Open Knowledge-Action Program by Connecting Multistakeholder)の「パンデミックの社会課題解決に向けた学際研究」(TUPReP)におけるイベント「TUPRePクロストーク」の第3回が開催されました。国際法政策センターは本イベントの共催者です。TUPRePでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による日本の死亡率が欧米より低かった理由を学際的に検討し、次のパンデミックに備える日本発のグローバルな提言をまとめています。TUPRePクロストークは、そのような取り組みの一環として、研究者や学生による意見交換を目的としたものです。

今回実施された第7回は「グローバルヘルス・ガバナンスに関する最近の動向」というテーマのもと、国際法政策センター長の植木俊哉理事・副学長と副センター長の西本健太郎教授(法学研究科)が2024年1月11日(木)に実施した第3回に続き報告および討議を行いました。

まず、西本副センター長から、国際保健規則(IHR)の改正案、およびパンデミックへの対応に関する新たな法的文書それぞれのそれぞれについて紹介されました。まず前者については、2022年から行われてきた交渉が結実し、2024年の第77回世界保健総会の最終日にコンセンサス(全員一致)により改正案が採択されました。改正内容としては、パンデミック緊急事態が導入され、また実施委員会を設置するなどして衡平・連帯を促進する仕組みが定められました。また、後者については、各国間の意見の相違が解消されず、引き続き交渉が継続されることとなりました。

続いて、植木センター長からは、伝統的には国家のみが当事者として拘束されるのに対し、パンデミックの分野では情報提供主体として非国家主体が活躍する可能性があることが指摘されました。また、利害対立の調整はこれまでも国際社会が様々な分野で直面してきた課題であり、パンデミックの分野でも同様の対立が生じていることが指摘されました。

さらに、TUPRePのプロジェクトリーダーを務める東北大学医学研究科の押谷仁教授が報告を行い、アフリカにおけるエムポックス(サル痘)の感染拡大の事例を手掛かりとして、グローバルヘルス・ガバナンスが直面する課題について論じられました。